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帯ロゴ画像 持ち込み編 帯ロゴ画像

●高校時代はすっかりバイクにのめり込んでしまい、ノート漫画は描いていたものの、投稿作は1本も描けず終い。このままでは漫画家になれないとあせった私は漫画を教えてくれる学校を探す事に……そこで見つけたのは日本デザイナー学院でした。この学校には、漫画を教える専科があったのです。
そこで刺激になったのは、自分以外で漫画を勉強しょうとしている人と、それも大勢と出会えた事。同じ目標をもつ仲間と一緒になったのは生まれて初めてだったので、大いに闘志が湧き起こりました。
授業で教わる内容はあまり記憶に残っていませんが、ライバル、友人が出来たのはとてもプラスになりました。

●そして卒業を間近にした頃、作品を1本仕上げました。学校の課題で描いたものではなく、久しぶりに出版社に投稿しようとして描いた作品でした。
まあ、せっかく描いたのですから、直に感想が聞ける持ち込みにしようと思い、持ち込み先を検討しました。そこで私は何を勘違いしたか、少女コミックに持ち込みをしたのです(笑) 素人の浅知恵と言いましょうか……。当時もちろん少女コミックは愛読していましたので、自分の作品が他の作品と被(かぶ)らないし、強烈なキャラクターのギャグ漫画が少女誌に載ってもいいんじゃないか……などと考えたわけです。
友人の妹にも完成原稿を読んで貰いましたが、声を上げてゲラゲラ笑ってくれたので「イケル!」と確信してしまいました(^^;
結果「ん〜っ、こういうのはうちでは求めていないんだよ」と編集さんに言われてしまいました(笑) そして「少年サンデーの方が向いてるよ」と言われ、サンデーの編集部を紹介して貰いましたが、そこでは「男のくせに少女漫画に持ち込むなんて根性が気に入らねー」と言われ、ろくに原稿も見てくれずに追い出されてしまいました(^^;
今でも名前覚えているぞ○宅!!(笑)

●日本デザイナー学院の級友で、プロを目指した人が何人かいましたが、私が知っているかぎりデビューまで行ったのが私を含めて二人。その後漫画家としてまがりなりにもご飯を食べているのは、私だけになってしまったようです。つくづくプロの世界は厳しいと言う事でしょう。

●日本デザイナー学院を卒業後、漫画の勉強にも役立つと思い、アニメーションの背景スタジオに入社しました。だって、色塗りがひどく下手だったんだもん(^^;
仕事が歩合制だった為、リテークの多かった初任給が忘れもしない1万5千円。
高校生時代にバイトで買った中古の車を売って、数ヵ月分の食費に当てたのは今でも懐かしい。

●やがて仕事にも慣れ、月産300〜400枚の背景をこなす様になってきたとたん、給料が歩合から固定給に変更され頭に来る(^^; この時期に担当したアニメーションは、タイムボカンシリーズのゼンダマン、キャプテンフューチャー、花の子ルンルン、トム・ソーヤの冒険etc......などだった。

●漫画家を目指していた私は意を決してスタジオを離れ、ある漫画家のアシスタントに潜り込み、テクニック盗みを慣行。化か 自分が如何に下手糞かを思い知る時期でもありました。

●アシスタントを辞めた後、フリーの背景マンのとなり、月に食うための最低限の仕事を取りながら覚えたての技術を使って、投稿作を描きはじめました。
だが、たった15ページの作品を仕上げるのになんと半年近くかかってしまいました。いくら仕事の合間をぬって描いたと言っても、ちょっとかかりすぎ(^^; 少し落ち込んだ…。でもまあ、せっかく書き上げたのだから持ち込みをしようと神保町へ。
しばらく小学館の少年サンデーに持って行こうか迷ったが、前回持って行った時を思いだし隣の集英社、月刊少年ジャンプに持ち込む事にした(笑)
幸いすぐに見てくれると言うので編集部へ(^^)。ネームを見てもらっている最中は、物凄く緊張しました。反応は上々で、その編集さんが私の担当になってくれました。
作品を見た編集さんは、絵が結構描けるから、ストーリィー漫画を描いてみないか?と言ってきた。もともとなんでも描いてみたかった私はすぐさま次回作ストーリィー漫画の執筆に取りかかりました。

●不思議なもので、15ページに半年近くかかっていたのに、次に31ページのストーリィー漫画を描くのに要した期間はなんと二か月。自分でも驚くスピードの変化だった。
担当がその完成原稿を、月刊少年ジャンプでやっている漫画大賞の候補作品に上げたいと言うので、お願いした。結果は選外佳作。初めて自分の名前が印刷され、感激する。アニメの仕事をしていたので、テレビに名前のロールが流れた事は何回もあったが、やはり自分一人で描いた作品の評価だったので、たとえ選外でもうれしかったのだ。

●月刊少年ジャンプ持ち込み3本目。
この作品はなんと15日で完成させる事が出来たのだ。別に描き込みが少なくなった訳ではない。むしろ完成度は上がっているし、描いていても前より辛くない……。
ここで一つ気付いた事がある。なんだかマラソンに似ているなーと……。
初めて10キロ走った時の事を思い出したのだ。あんなに辛かった10キロも何度か走っているうちに自然とペース配分を覚え、走り終わった翌日に足が痛くならない感覚とでも言うのだろうか……。
ともかく、ぜーぜー言いながら描いていた漫画が、なにをどうしたらどのぐらいのクオリティで、どのくらいの時間で仕上がるか分かって来たのだ。闇雲に描いていた頃と比べると随分進歩したのだろう。
この作品は佳作入選し、賞状と5万円の賞金を貰う事になった。
この後、さらに2本の佳作入選を取り、デビュー作の執筆にとりかかる事になる。

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